匂いで覚えてる「母が作った煮もの」

久しぶりに煮ものを作りました。

といっても、手の込んだものではなく、
家に常備してあった、
高野豆腐、糸コン、玉ねぎ、
そして母から送られてきた山形の「麩」を、
酒、だし、醤油で煮ただけの簡単なもの。

煮ものって、煮込んでいる間に
だんだんいい匂いがしてきて、
「お~!できてきたかも♪」
っていうのがわかる。

もうちょっと時間がかかるかも?
っていうタイミングで鍋の蓋を開けてみるのも、
なんだかドキドキして楽しいのよねん。

・・・って、
こんなことを書いているアタシだけど、
実は、以前は料理なんて全くしなかったの。

実家にいた頃(高校卒業までね。若かったなぁ)は、
アタシは茶の間でテレビを見ながら
夕飯ができるのを待ってて、
台所で母を手伝うのは、もっぱら姉の役目だったわ。

だから、料理の味付けなんて、
ぜ~んぜん知らなかった。

だけど、
母が作る素朴でおいしい料理の匂いだけは、
茶の間まで漂って来ていたから、
しっかり覚えているのよねぇ。

大学生になって、寮に入ったんだけど、
食事は自炊か外食。
同じ寮にいる先輩たちは「自炊派」が多かったから、
時々アタシも料理を作ってみたんだけど、
なんだか実家で漂っていたあの匂いと違う・・・。

実家に帰省した時、
母に「この煮もの、どうやって作るの?」
って聞いたら、母が目を丸くして
「なんで?」っていう。
「いや、作ってみようかな、と・・・」
「へぇ、あんたがねぇ!」
って言いながら教えてくれた味付けレシピは、
「酒、だし、醤油」だけだった。

アタシは正直
「え??」って思った。
だって、もっといろんな味がするじゃない?
そしたら、母曰く
「それは、素材の味だよ」って。
「ふ~ん、そうなんだ」
って思って、寮に戻ってから作ってみたけど、
やっぱりうまく出来なかった。

昨夜、久しぶりに作った煮ものは、
火にかけているそばから、
母が作ったあの煮ものの匂いがした。

学生時代から20年以上が経って、
アタシもいろいろ経験したこともあり、
素材は同じようなものでも、
ちょっと調理方法を変えてみたから。

昨夜の煮ものは、
まず玉ねぎをごま油としょうがで炒め、
それから「酒、だし、醤油」と
お水を少し入れて味を調えながら、
戻した麩、高野豆腐、糸コンを加えて煮込んだわ。

出来上がって食べてみたら
「うん、この味だわ~」と、自画自賛。
きっと母は、アタシにレシピを教える時
「玉ねぎを炒める」という過程を
省いて教えてくれたんだろうなぁ。

アタシ、めんどくさがりだからね・・・。( ̄▽ ̄)