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ウェブ原稿とラジオ原稿

今日も、原稿を書いている。

自分で言うのも何だが、私の原稿は新聞原稿に比べて「ひらがな」が多く、ウェブでも読みやすいと思う。これは、私の原稿の基礎が、テレビとラジオのニュース原稿であるというのが要因だ。

 

私は、テレビとラジオの両方を放送する局の報道部に勤務し、両方で使えるようなニュース原稿を書いていた。テレビとラジオの原稿が、新聞や本の原稿と違うのは、「耳で聞いてわかる」というのが前提になっていることだ。

報道部時代、新聞記者さんと同じ現場になることもたくさんあったが、同じ現場で同じ人を取材していたにもかかわらず、新聞さんの原稿のカタさ(失礼)に、「やっぱりテレビやラジオとは違うなぁ」と思ったのを覚えている。

新聞や本は、漢字が多くても、多少難解でも、文章の最初に戻って何度も繰り返し読むことができる。でも、テレビやラジオは電波なので、耳で聞いて理解できなければ、視聴者やリスナーには伝わらない。だから「耳で聞いてわかる」ことが必要で、これがひらがなが多くなる理由だ。

 

ひらがなは漢字ほど複雑な形をしていないので、ひらがなの多い原稿はデジタルな端末で読みやすいのだと、私は勝手に思っている。特にウェブニュースに適している、ウェブと親和性が高いのは、ラジオ原稿ではないだろうか。

テレビニュースの場合には映像を伴うので、映像でわかる部分は極力シンプルに書かれている。このため、映像を見ながら読まないとわかりにくいこともある。

でも、ラジオの場合には映像がないので、見えない部分は描写することになる。しかも「耳で聞いてわかる」描写だ。この「ひらがな描写」は、スマホなどで読んでいても、ラクに読むことができて、なおかつ、きちんと現場の様子などを想像することができる。

情報量が多くて重くなりがちな動画ニュースよりも、静止画1枚とテキストの方がウェブニュースとしては読みやすい。だから、ラジオの原稿を書いていた人がウェブ用の原稿を書くと、とてもわかりやすいと私は思う。


実際に私は現在、企業のホームページなどウェブ用原稿のご依頼をいただくこともあるが、ありがたいことに、クライアントからは「わかりやすい」と、ご好評いただいている。

放送局に勤務していた頃は「テレビ用原稿を、ラジオでもわかるように書くなんてムリ!」と思ったこともあったが、今ではあの訓練をさせてもらって良かったと思っている。