「しがらみや肩書きがないのだから、自分が思うように、やりたいように、思いっきりロックしてください!」
これは先日、ユーチューブで聞いた言葉である。私がユーチューブで見たのは「沖縄県知事選挙 公開討論会」で、この言葉を仰ったのは、候補者のひとり、衆議院議員の玉城デニーさんだ。
玉城議員は、県民から「デニーさん」と親しまれている。実は、デニーさんは議員になる以前、沖縄のローカルラジオ番組の人気パーソナリティだった。そして、私はそのラジオ番組でADをやっていた。なので、余計に「玉城議員」ではなく、「デニーさん」なのである。
デニーさんは、音楽、特にロックが大好きで、自分でバンドを組み、ボーカルを務めていた。十八番はディープ・パープルの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」で、他にもハードロック系の曲を何曲も、まるで持ち歌のように歌っていた(もしかすると、今も歌っているかもしれない)。議員になってもデニーさんはデニーさんなので、地元のコミュニティFMで、音楽番組のパーソナリティを務めている。その番組では一切、政治の話はしていない。
……と、そんなデニーさんが、まさか沖縄県知事選挙に出馬することになろうとは、本当にびっくりである。デニーさんにとっての最初の選挙は、2002年の沖縄市議会議員選挙だったと記憶している。市議会議員になったこともびっくりだったが、その後、衆議院議員になった時も、ものすごくびっくりした。それが、今回はすでに報道されているような緊急事態となり、デニーさんは知事選に出馬を決意した。一番びっくりしているのは、当のご本人かもしれない。
そして、先日の公開討論会。デニーさんが冒頭の言葉を仰ったのは、討論会の終盤に登壇した、沖縄の大学生たちに向かってであった。コーディネーターから「沖縄の若者たちに何かひと言」と促されて、デニーさんはこう言ったのである。
「大人になると、たいていはどこかの組織に属することになります。そうすると、その組織や肩書きの範囲内で、言いたいことを言ったり、行動したりしなければならない。でも、若いあなたたちには、そういうしがらみや肩書きがない。だから、今のうちにしかできないことを、思いっきりやって、ロックしてください!」
当然のことながら、ここで言う「ロック」は「カギをかける」という意味ではない。ロックミュージシャンでもある、玉城デニーさんならではの言葉だと、私は思った。きっとデニーさんは、議員になってから、言いたくても言えないこと、やりたくてもできないことが、たくさんあったのに違いない。
公開討論会を見終わってから、私は改めて「しがらみや肩書きがないから、好きなようにロックしてほしい」という言葉を思い出した。そして、まるで私に向けられているようにも思えた。フリーランスはまさに、しがらみや肩書きはない。文字通り「フリー」である。
ああ、きょうもまた、ものすごくマジメなことを書いてしまったけれど、とにかく私は、デニーさんの言葉によって、気づかされた。今まで、何を遠慮していたんだろう、何を怖がっていたんだろう。フリーは遠慮する必要がないじゃないかっ!!だから「アタシもロックする!!」そう決めたのである!