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ストーリーで伝えるということ

たとえば、この写真を見て、あなたは何を思うでしょうか?

雪景色がきれい、青空がきれい、晴れているけれど寒そう…いろんな印象があると思います。

 

この写真は、私が今年2019年1月1日に、ふるさとの山形へ帰省する際、新幹線の車窓から撮ったものです。場所はおそらく、福島県内で、山形との県境あたりです。

 

雪の中に整然と並んで見える木々は、果樹。福島なので、梨か桃だと思います。

 

わかっている事実だけ書けば「山形と福島の県境にある木々の写真」なのですが、「果樹園である」ということを踏まえると、この1枚から想像できることは、たくさんあると思うのです。

 

今は、雪に埋もれている木々たちも、早春になって雪が解けると、少しずつ目を覚まして、まず、花のつぼみを付けます。そして、本格的な春になると、桃ならピンク、梨なら真っ白な花を咲かせるのです。

 

そうすると、この雪に埋もれた白黒の果樹に「色」が付くと思いませんか?

 

私は、昨年2018年の夏ごろから、自分のブログの書き方をガラリと変えました。その理由は「自分でコンテンツを作らなければ」と思ったからです。

 

それまで、私はライターとしての仕事を、出版社さんからの「下請け」のような状態でやっていました。でも、昨年夏、突然に複数の仕事がキャンセルになり、ライターとして食べていくことがかなりピンチになりました。

 

そこで、半ばヤケクソになって始めたのが、現在のブログです。

 

この、今書いている自分のホームページのブログの他に、アメブロも、毎月20本以上は書いています。「美味と物語」というタイトルで、酒場で聞いた会話をもとにしたショートストーリーです。

 

どちらのブログも、書いたからといってお金になるわけではありません。でも、続けていてよかったと思うことがいくつもあります。

 

最もよかったことは、ショートストーリーをたくさん書くようになって「ストーリーで伝えることのおもしろさ」に気づいたことです。言いにくいことを、登場人物の誰かが言ったセリフにすることによって、やんわりと、でも読む人の心にはちゃんと残るように伝えることができるというのが、ストーリーとして書くおもしろさだと思います。

 

たとえば、何かイラッとしたことがあるとして、それをストレートに文章にすると、単なるグチにしかなりません。でも、セリフとして書くと、それを「そういう場面」として伝えることができる。そしてさらに、イラッとしていた自分を客観視することができるので、「なんだ、そんなことだったのか」と、自分で書いているうちに、自分の怒りを受け流すことができるようになりました。

 

何よりも「あのブログ、おもしろいよね」と感想をいただけるようになりました!ありがとうございます!!\(^o^)/

 

以前は私のアメブロもこのブログのように、ごく普通に書いていたのですが、その時にはこんな有り難い感想をいただいたことはありませんでした。「おもしろいよね」と言っていただけるようになったのは、まさしく「ストーリーのチカラ」だと思います。

 

そうそう。冒頭の写真をこのブログで使おうと思ったのも、ストーリー仕立ての文章と、事実だけを書いた文章の違いを書きたかったから。

 

事実だけ書けば「山形と福島の県境にある木々の写真」なのですが、ストーリーを意識すると、次のようになります。

 

今は、雪に埋もれている木々たちも、早春になって雪が解けると、少しずつ目を覚まして、まず、花のつぼみを付けます。そして、本格的な春になると、桃ならピンク、梨なら真っ白な花を咲かせるのです。

 

ほんの少し文章が加わっただけで、雪景色の果樹園から、春の花咲く果樹園に行くことができる。「ストーリーを書くことって、想像力を働かせることなんだ」と、いくつものショートストーリーを書いて、ようやくわかった気がします。