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インタビューは誘導尋問ではない

「マスコミのインタビューって、誘導尋問ですよね?」

先日、とある飲み屋で隣り合った常連さんから、こんな質問をされました。もちろん、その方は私が元テレビのリポーターで、今はライターとして仕事をしているのを知っているので、こんな質問をしてきたわけですが。

 

結論から言うと、「インタビューは、誘導尋問ではありません」

 

もし、そう思っているなら、それは週刊誌やワイドショーの見過ぎだと思います。

 

週刊誌やワイドショーなど、ゴシップをメインにしているメディアがやっているのは、確かに誘導尋問に近いです。例えば、「あなたは不倫をしましたよね?」「え…あ、あの…申し訳ありません」という「結論」に向かって、ゴリゴリ取材をするからです。あの方法、私は大っっ嫌いですけどね。

 

一方で、マトモなメディアの場合は、取材相手の話をきちんと聴きます。なぜなら、取材相手がどんな言葉を言うのかという「過程」が大事だからです。

 

インタビューといえば、野球のヒーローインタビューがわかりやすいと思います。ヒーローインタビューといえば「あの時、どんな気持ちでしたか?」ですよね。やった、やらないという「結論」ではなくて、あの時の気持ちという「内面」を聞くのがインタビューです。

 

あなたが、誰かに何かを相談する時のことを思い出してください。自分の気持ちって、信頼できる人にしか話しませんよね?

 

だから、インタビューをする人がインタビューされる相手に会ったら、最初に行うことは「アイスブレイク」です。まず最初に、話しやすい雰囲気をつくり、「この人は信頼できるんだな」と思ってもらう。これがないと、相手は思うように話をしてくれず、いいインタビューにはなりません。

 

誘導尋問は、言ってみれば「上から目線」で、相手を問い詰めるようなもの。そこに信頼関係はありませんよね。だから、私は週刊誌やワイドショーの取材方法がキライなんです。

 

インタビューは、相手から「その人ならではの言葉」を引き出すこと。だから、たとえその日しか会わない人であっても、信頼関係が大事だと、私は思っています。