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「感覚を言葉にする」って大事

台風が去った後、東京・渋谷の空は、赤紫色のような夕焼けでした。「きれい!」と、思わずビルの外に出て、写真を撮りました。

 

ちょうど、夕方の帰宅時間くらい。駅の方へ向かう大勢の人たちが歩いています。けれど、私が写真を撮っているのを見ても、誰も空を見上げる人も、立ち止まる人もいませんでした。

 

みんな、この空を「きれいだ」とは思わないのかな?

 

台風の後で、夕焼けがきれいに見えるのは、台風前後の空気中には水蒸気がたくさん含まれているためなのだそうです。水蒸気が多いと、光の屈折の仕方によって、赤や青の波長が目に見えるようになるのだとか。

 

「きれい」にも、科学的な根拠があるんですね。

 

「きれいだ」と思うことによって、科学的な根拠を知ることもいいんですけど、それ以上に、「きれいなものはきれい」と思う感覚って、とても大事だと思うんですね。

 

そういう「気づき」から、企画が生まれたり、共感が生まれたり、意外なつながりが生まれたりすると思うんですよ。つまり、新たな「価値」につながる。

 

だけど、その「気づき」を、単に自分の感覚として流してしまうと、「価値」を見逃してしまうことになると思います。

 

例えば、今日のこの写真。私が「きれい!」と思っても、写真に撮らなかったら、その時の感覚をブログに書かなかったら、誰かに見られる、読まれる可能性はゼロになります。こうしてブログに書いているから、「コンテンツ」として存在するわけですよね。

 

もし、これを読んでくれた人が「わかる~!私も今日の空、きれいだと思った!」と共感してくれて、たまたまその人が絵を描く人だったり、音楽をつくる人だったりするかもしれない。もしくは、SEとかプログラマーかも。

 

それぞれの技術を持つ人が、「きれい!」という共通の感覚をきっかけに、それぞれの得意分野でつくりあげたモノ、コトを持ち寄ったら、もっとすごいことができる。

 

今までは、プロデューサーといわれる人が、その人の周りにいる人たちを集めて、プロジェクトをやっていたんだと思います。ちゃんと資料やら、会議やらを経て、計画を立てて。

 

でも、これからは「共通する感覚を持つ人」が、オンラインでもオフラインでも集まって、それぞれの知恵と技術を出し合い、「これって、いいよね!」って感じで、仕事ができるようになる、といいな。

 

こういう仕事って、数字では表せない、とても人間的なつながりだと思うんです。すでに、音楽業界などでは、こうした方法があるのかもしれません。これからは、文化や芸術以外のビジネスでも、数字先行より、感覚先行の、人間的な仕事ができるといいなと思います。

 

だって、私たちはAIじゃなくて、にんげんだもの。