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風のように

今日は久しぶりに、青空が広がり、さわやかな風が吹いています。

 

スーッと深呼吸しながら、「ああ、私の仕事って、風みたいだな」と思いました。

 

風は、ひとつのところに留まることがありません。お天気によって、穏やかに吹いたり、激しく吹いたりして、さまざまなものに変化をもたらします。

 

ライターという仕事も、似たようなところがあります。特に、フリーランスは。

 

企業や組織に属することをせず、常に動いている。だけど、時には企業や組織に入り込んで、話を聞き、写真を撮って、その企業や組織のことを文章に書く。

 

そして、自分で言うのもなんですが、その文章は、書かれた企業や組織に、なんらかの変化をもたらします。結果として変化をもたらすこともあれば、変化をもたらすために書くこともある。

 

たとえば、このところ、とある大きな企業の社内広報誌の記事を書く仕事をしています。その企業では、これまで、すべての記事を広報部の担当者が書いていました。でも、組織が大きくなったので、もっとしっかりと「読まれる広報誌」を作りたいというので、私にご依頼いただいたようです。

 

当初は、先方も「社内の広報誌を外部のライターに頼むのは、どうなんだろう?」と思っていたようです。でも試しに、とある特集記事を私が書いて、広報誌に掲載してみたところ、それを読んだ社員からの評判がよかった。それで、それ以来、継続的にお仕事をいただいています。

 

この広報誌の例だけではありませんが、企業や組織に属している当事者の方は、なかなか自分たちのことや自分たちの仕事のことを客観視することができません。だから、どうしても「これでいいはず」という、ワクを超えることが難しいんですね。

 

だけど、私のようなフリーランスの場合は、いろんな企業や組織の取材を経験しているので、「こういうこともありますよ」「こっちの方がおもしろいんじゃないでしょうか」という、ワクを超えた見方ができるんです。

 

これが変化をもたらす「風」です。

 

企業や組織という、いわば「土」や「木」は、変化することが難しい。だけど、風が運ぶ「タネ」のようなものによって、古い葉を落とし、新しい芽を出すきっかけがつかめることがあります。

 

…と、いうようなことを、今日の心地いい風に吹かれながら思いました。

 

そうそう。風は風でも、心地いい風でありたい。カラッとさわやかに、「また来てね」と言われるような、「風」でいようと思います。