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文章の構成は時系列だけではない

私はフリーのライターなので、文章を書くことを生業としています。フリーのライターは、出版社勤務を経て、または新聞記者を経て、という人が多いらしいので(最近では、ブログやネットメディアからという人も増えましたが)、私のようにテレビのリポーター出身というライターは、少数派みたいです。 

 

時々、雑誌などに掲載されている他のライターさんが書いた記事を読んでみると、明らかに私と違うな~、と思うことがあります。それは、文章の構成です。

 

例えば、今は繁盛しているけれど、以前は厳しかったというお店についての原稿の場合、私が書く文章の構成は・・・。

 

現在はどんなお店なのか?

  ↓

どういう歴史で、過去にはどんな苦労があったのか?

  ↓

そして、未来はどんなお店にしたいのか?

という順番で書いています。時間軸でいうと「現在→過去→未来」という文章です。

 

一方で、出版社勤務を経て、または新聞記者を経て、という人の文章は「過去→現在→未来」と時系列であることが多いです。前述の例でいうと・・・。

 

どういう歴史で、過去にはどんな苦労があったのか?

  ↓

現在はどんなお店なのか?

  ↓

そして、未来はどんなお店にしたいのか?

という順番になります。これは、活字で原稿を書いてきた人だから、だと思うんですね。

 

この違いはおそらく、私の原稿の基礎がテレビのニュースだからだと思います。ニュースもドキュメンタリー番組などの場合も、いきなり過去の映像から入るのではなく、現在の状況を伝えて、それから過去の映像になる、という構成が多いですよね。その方が、視聴者に伝わりやすいからです。

 

私は長年、時間軸でいうと「現在→過去→未来」という構成で原稿を書いてきたので、すっかりこの方法が身に付いています。「過去→現在→未来」という構成の方が伝わる文章もありますので、どちらが良い悪いということではありません。

 

ただし、例えば「現在」のことを伝える段落なのに、いきなり「未来」のことを入れるなど、それぞれのまとまりの中に、いろんな時間軸が混ざらないように書きましょうね。