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写真で大きさを伝えるなら

これは、井の頭線の渋谷駅近くにある岡本太郎さんの作品「明日の神話」です。

この写真は、作品だけを撮っていますが、

この写真を見ると、作品の足元に人が写っているので、作品がとても大きなものだということがわかると思います。

 

「大きい」とか「小さい」というのは、実は相対的なもので、何かと比較しなければわかりません。

 

特に、スマホの写真や映像は、小さな画面の中で見ることが多いので、「大きいんだよ!」と言われても、規模感がわかりにくい。近くに比較できるものがないとわからないんです。

 

これは、私がテレビ局で仕事をしていた時に先輩から教えてもらったことです。テレビも、視聴者は画面を見ているだけなので、「大きいんです!」と、そのモノだけを映しても大きいのかどうかは伝わらない。

 

例えば、水槽の中を1匹の魚が泳いでいる映像だけでは、水槽やその魚の大きさはわかりません。でも、水槽の横に私が立っていて、私の身長(157センチ)よりも水槽の高さが高く見えたら、水槽も魚も意外に大きいことがわかりますよね。

 

今、この文章を書いていても思うのですが、規模感を伝える文を書くときも同じこと。何かの「基準」となるものと比較して伝えないと、大きさやすごさは伝わらないものなんですよね。

 

ずいぶん前のことですが、ある人とビールを飲んでいる時に、ビアグラスの話になりました。

「そういえばこの前、すごく大きなビアグラスでビールを飲んだんだよ!」

と、その人が言って、私に1枚の写真を見せてくれました。

 

その写真には、その人の顔の横に、ビールがたっぷり入ったビアグラスが。

 

でも、残念ながら、私には、そのビアグラスが「大きい」とは思えませんでした。

だって、その人の顔も大きいから(笑)。

 

もし、その人の顔が、女性の手のひらくらい小顔だったら、ビアグラスはとても大きく見えたかもしれません。もしくは、スマホやボールペンなどなんでもいいので、誰でもだいたいの大きさがわかるものを横に置いて写真を撮っていたら、そのビアグラスを「大きい」と思っていたかもしれません。

 

大事なことなのでもう一度。「大きい」とか「小さい」というのは、実は相対的なもので、何かと比較しなければわかりません。何かの「基準」となるものと比較して伝えないと、大きさやすごさは伝わらないものなんです。