ひとくちに「山を登る」といっても、登山家のようにガチで登る人もいれば、ハイキングのように軽い運動がてらの人、観光気分の人など、いろいろいますね。そして、山にも初心者向けから上級者向けまで、いろんなコースがあります。
それと同じといえるかどうかはわかりませんが、ひとくちに「文章を書く仕事」といってもさまざまです。
物語を書く小説家。
事実をとことん突き詰めて書くノンフィクション作家。
自分の想いを随筆にするエッセイスト。
今のところ私の仕事は、誰かを取材して(時には対談だったりする)、その人たちが言った言葉を読者がわかりやすいように文章にする、っていうことが多いです。
つまりそこには、「自分の想像力」が入り込む余地はあまりありません。
書いているのは文章だけど、取材先はたいてい何かのプロなので、そのプロの言葉を読者というアマチュアに通訳するようなものだと
私は思っています。だから、ほとんどの仕事は第三者的な目線で、あくまでも客観的です。
私は今の仕事のベースに「ニュースの記事を書いていた」という経験があるので、物事を客観的に書くことは何年もやってきました。ニュースは「起きた事実」を伝えるので、「想像して書く」ということがほとんどありません。事実をもとにして「今後こうなるでしょう」という感じの文章を書くことはありますが。
一方で、「文章を書く」という意味では同じだけど、小説家もエッセイストも、ものすごく主観的だし、想像力を要する仕事です。
とある雑誌で見たのですが、小説などには「物語の基本の型」というものがあるそうです。物語の基本は、主人公が協力者とともに何かの目的に向かう、ということ。
それから「話がグーンと面白くなる条件」というのがあるそうです。
1.対立させる
2.必死にさせる
3.葛藤させる
4.恋愛を盛り込む
例えばこれらを、かの有名な物語「白雪姫」にあてはめてみると・・・。
主人公→ 白雪姫
協力者→ 小人
目的 → 王子さまと結婚
「面白くなる条件」
1.対立させる→ 継母の王女
2.必死にさせる→ 主人公が森へ逃げる
3.葛藤させる→ りんごを食べるかどうか?
4.恋愛を盛り込む→ 王子さまに出会う
おお~!ぴったりあてはまりますね。
この「基本の型」は童話だけじゃなく、映画やドラマにもあてはまります。確かに、いろんなお話はこういう感じになってますが、どんなに基本があっても、物語は千差万別。本屋さんには次々に新作が登場します。そして、多くは人の想像力が生み出すものです。
私は小説もエッセイも大好きなので、しょっちゅう本屋さんに行って、お気に入りの1冊を連れて帰ってきますが、読む度に「こういう作品を書けるって、すごいなぁ」と感心しきりです。そういう作品を書けるように、私もなってみたいと思います。