3月になりました。毎年、私はこの時期に研修講師のお仕事をいただいています。テーマは「プレゼンテーション」です。私にとっては、以前、テレビ局でマイクを持ってしゃべっていた技術を応用したものです。
でも、人に何かを教えるって、なかなかむずかしい~。
誰かに技術を教えられる人というのは「どうやってそんなことができるの?」と聞かれたときに、言葉で技術を伝えることができる。そして何よりも、教えられる側の立場に立つことができる人だと、私は思っています。
私はフリーで仕事をしているので上司もおらず、「人から何かを教えてもらう」ということがほとんどありません(取材の時はありますが)。どちらかというと「人に教える立場」に立つことの方が多いです。
そんな私が、数年前までほぼ毎週のように「教えられる立場」に立ってました。フィットネスクラブに通っていたんです。最初はダイエット目的だったんですけど、だんだん「大汗かいた後に飲むビール、サイコー!」と思うようになっていました(笑)。
ある時、エクササイズを教えてくれるインストラクターの「教え方」から気付いたことがあります。上手なインストラクターは「人から教えられる立場に立つことができる」ということです。教えられる立場って、「わからない人、できない人の立場」でもあると思います。
私は子供の頃からスポーツが苦手です。一応、中学時代はバスケ部だったけど、ずっと補欠で応援ばかりしていたし、運動会だって、賞をもらったことは一度もないんです。つまり、スポーツではいつも「デキない人」です。
でも、上手なインストラクターは、そんな私でもちゃんと効果のある動き方ができるように、わかりやすく教えてくれます。
一方で、あまり教え方が上手じゃないインストラクターは、自分で動くのは上手だから、音楽とかにのって自分でサッサと動いちゃう。だから、私みたいにデキない生徒はどう動いていいのかわからなくて、ちゃんと動けない。そういうとき、運動の効果は感じられませんでした。
そのフィットネスクラブには何年も通って、いろんなインストラクターのクラスを受けたから気付いたことなんですけど、これって、何にでも共通しているな、と。
文章を書くことを教えるなら、文章が苦手な人の立場に立つ。人前で話すことを教えるなら、話すことが苦手な立場に立つ。誰かに何かを教える時は、デキない人の気持ちになろうと、フィットネスクラブのインストラクターを見て思ったのでした。