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質問は「記憶の扉」を開ける

「そういえば、そんなことやってた~」取材のたびに、取材相手の方からよく聞く言葉です。

 

たとえば去年、青森県に取材にいったときのこと。取材先はあるホテルでした。そのホテルの社長さんは、2011年の東日本大震災の際、青森から岩手県や宮城県に何度も足を運び、被災地に食品や日用品などを届けました。

 

私は時折、東日本大震災の被災地へ取材にうかがうことがあるのですが、被災地の方々は

あの当時のことを忘れるはずもなく。淡々とツラい思い出を話してくれます。

 

一方で、前述のホテル社長さんのように、自分たちは被災者ではないのだけれど、被災地を助けるために動いた方々は、意外と詳細を覚えていなかったりします。

 

これはなぜなのか、詳しいことはわかりませんが、ひとつ言えることは、そういう方々でも、「こちらが質問すると思い出す」ということなんですね。

 

ここでは、わかりやすいように、そしてこのブログを書いているのが3月だからということもあって、東日本大震災の例を出しました。でも、「質問すると思い出す」というのは、震災関連に限ったことではありません。

 

どんな取材でも、当事者が普段は忘れているようなことは、前もって質問を送っておけば、記録を調べてくれたり、記憶をたどったりして、思い出して答えてくれるのです。

 

質問することって、「記憶の扉を開けるカギ」みたいな役割を持っているんじゃないかと、私は思っています。

 

人はみんなそれぞれに、それぞれの記憶を持っています。同じことを経験しても、その経験したことに対する思いは、みんな違います。だから、当事者にはそれぞれに話を聞く必要がある。だけど、取材する側の「聞き方」によっては、答えが返ってきません。答えが返ってこないのは、相手のしゃべりが下手なのではなく、こちらの聞き方がよくないのかもしれません。

 

取材相手の「記憶の扉」を開けられるかどうか。それは質問する側の腕次第だと、私は思っています。