「ツイッターやフェイスブックなんかの短い文章は書けるけど、ブログは長い文章を書かなきゃいけないから苦手で…」
という話をときどき聞くことがあります。
でも、短い文章を書けるなら、長い文章も書けるようになりますよ。長い文章は、短い文章の集まりですから。
あ、ちなみに「文」は句点から句点までのまとまりで、「文章」は「文」がいくつか集まって意味をなすものです。
たとえば・・・。
私は書くことが苦手です。
・・・というのが「文」
私は書くことが苦手です。SNSなどの投稿は書けます。でも、それ以上の長い文章になると、途中でなにをかいていいのかわからなくなります。
・・・というのが「文章」です。
私は今、雑誌や書籍のライターとして仕事をしているので、普段書いている文章は雑誌なら1記事2000文字程度、書籍は3万~5万文字程度が多いです。でも実は、11年前にフリーライターになるまで、数千字という長い文章は書いたことがありませんでした。
なぜなら、それよりも前に私が「原稿」という名の文章を書いていたのは、テレビのニュース用だったからです。当時、テレビのニュース用原稿は、ストレートニュースといわれる約1分間のものが約400文字。テレビニュースは映像があるので、文章は必要最低限に情報を絞り込んで書いていました。
その私が、長い原稿を書くことになったのは、フリーライターになって間もなく、知り合ったある方から「料理人を取材して、本を1冊書いてほしい」とご依頼があったからです。
当時の私は、まだ書籍の原稿を書いたことがなかったため、全く自信がありませんでした。私は正直に「テレビ用とインターネット用の原稿しか書いたことがないので、本1冊分という長い原稿が書けるかどうかわかりません…」と言いました。
すると、その方がこうおっしゃってくれたのを、今でも覚えています。
「やったことがあるかどうかじゃないよ。やりたいかどうか、だよ」このひと言に背中を押されて、私はその方のご依頼を受けました。
そしてその本を手がけた後、雑誌や書籍の原稿執筆のご依頼をいただくようになり、自信を持って、長い原稿を書くことができるようになりました。
それで、やっているうちに気づいたのですが、「長い文章は、短い文章の寄せ集め」なんです。
たとえば、料理に関する本なら・・・
・著者さんの経歴に関することや、料理に関する考え方
・料理レシピとポイント
・食材に関する情報。産地やおいしい理由など
・季節ごとの料理の特徴
・こんだてのポイント
などなど、いくつかの「章立て」が考えられると思います。
それらに関する情報を、それぞれ短い文章で書いて、章ごとにまとめたものが1冊の本です。だから、「本を1冊書く」といっても、いきなり長い文章を書くわけじゃないんですよ。短い文章を集めて、それを組み立てて1冊の本にするので、パーツを集めてひとつの作品をつくるようなものです。
それは「花」にたとえると、花だけじゃなくて、葉っぱも茎も根っこもある、みたいな感じです。小さな花がいくつも集まるときれいに見える、ということにも似ています。そういうことに気づいてから、私は長い原稿のご依頼が来ても、何の問題もなく承ることができるようになりました。
「長い文章が苦手」と思っている方がいたら、「短い文章の寄せ集め」と考え方を軽くしてみてください。きっと、書けるようになりますよ。