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取材で「実は…」を引き出すには

私のメインの取材は、中小企業や小規模なお店を経営している代表者の方からお話を伺うことが多いです。中には、すでにいろいろなメディアから取材された方もいます。

 

そういう方の場合、その方がお話した内容がいろんな雑誌やネットの記事になっているわけです。

 

私は、取材の前後にそれを読みます。参考までに。同じ方が話をしているので、似たような内容ですし、取材後には「やっぱり似たような内容だったな」と思うこともあります。

 

でもね、他社が書いた記事がどうのこうのって、正直言って、あんまり関係ないと思うんです。

 

だって、人って、会話の相手が違ったら、話し方とか内容とか、微妙に違うでしょ?何より、その方の発言は、その時々によって「二転三転」はしなくとも、「言い回し」や「表現」は違います。

 

だから、取材対象者が「私に会ったその時に」「私に対して」なんと言ってくれたかが重要。その方がなんと言ってくれたか、ということは、私がその方からどんな言葉を引き出せたか、ということです。

 

たとえ、私が他社と同じような質問をしたとしても、「あのときは言わなかったんですけど…」という話が引き出せればもっといいと、私は思っています。

 

そのために必要なのは、話しやすい雰囲気をつくることです。取材はたいてい一期一会なので、初めてお会いする方の方が圧倒的に多いです。お会いしたその日、そのときの約1~2時間だけで、「実は…」ということを話してもらうには、ちょっとしたコツがあります。

 

私が心がけているのは、こちらがリラックスすれば、相手もリラックスするということ。取材する側が構えるから、相手も構えちゃうんですよね。緊張している相手から、いい言葉を引き出すことはできません。

 

取材する側は、取材先にうかがって話を聞くことがほとんどだと思います。取材される側は「何を聞かれるんだろう?」と緊張するのが当たり前。だから取材する私たちの方が、どんな場所に行っても、にこやかに、そして冷静に対応することが、いい取材をするためのコツだと思います。