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建物も原稿も「作品」と呼ばれるワケ

みなさま、ゴールデンウィークはいかがお過ごしだったでしょうか?

私は、できるだけ人がたくさん集まらないような場所を選んで、外出しました。近所の公園とか、ですね。

 

晴れた日には、公園にレジャーシートとノンアルコールビールとおつまみ、それに文庫本を持っていって、半日くらい芝生の上でのんびり読書。とっても気持ちよかったです。

 

さて、この写真はゴールデンウィーク直前に行った「旧古河庭園」にある洋館です。建てられてから100年くらい経っているもので、当時、明治政府がイギリスから日本にお連れした建築家が設計した建物だそうです。

 

そのイギリス人の建築家の方は、日本の文化にとても興味を持ち、華道や茶道も学んで、日本文化をよく理解してこの建物を設計したと、この洋館の中にあった解説に書いてありました。だから、日本には地震が多いことも知っていて、地震に強いつくりにしたらしく、100年経った今でもこうして現存しているのだそうです。

 

それを読んで、私の仕事にも共通することがあるなと思ったんです。原稿を書くことは、建物をつくるようなものだなぁ、と。

 

原稿を書くときは、どんな原稿にするのか、全体を企画して、いろいろリサーチしたり取材したりして素材を集め、それを構成して、原稿を執筆します。

 

建物も、全体を設計して、さまざまな建築素材を選び、それらを構成して建てていきます。

 

私が書く原稿の場合には「素材」がモノではなく言葉なので、一連のことを1人で行うことが多いです。でも、建物の素材は、とても大きなものから小さなものまで、実際のモノなので、多くの人が関わります。そこは大きな違いですが、「つくる」というプロセスとして見ると、同じなんですね。

 

そして、そのプロセスの中でも最も重要なのが、やっぱり最初の「企画」建築でいえば「設計」です。

 

この洋館を設計したイギリス人建築家の方は、日本文化に興味を持ち、日本文化をよく理解して設計したということですが、取材して原稿を書く私も、その気持ちがわかります。原稿を書くときは、取材対象者となる方に興味を持たないと書けないからです。

 

この庭園を訪れてこの洋館を見て、そういうことに気がついたせいか、古い建物を見ると「これはどういう人がつくったのかなぁ」と思いをはせるようになりました。文章と建築って、意外なところでつながっているものですね。