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絵本と多様性

先日、知り合いに絵本をプレゼントしようと、書店へ行きました。その書店はとても広くて、どんなジャンルの本でも、よほど古くなければたいていは在庫があるので、そこへ行けば間違いなく手に入ると思ったんです。

 

本が大好きな私は、しょっちゅう大型書店へ行くのですが、絵本の売り場は未知の世界。これまで買った絵本は、個人経営の小さな本屋さんのお店に陳列されていたもので、迷う必要はありませんでした。

 

しかし、大型書店の絵本売り場に行ってみてびっくり!!

 

ひとくちに「絵本」といっても、まだ文字が読めないような赤ちゃん用から幼稚園児くらいの子ども用、小学校低学年用、高学年用、そして大人向けの絵本まで、ものすごくいろんな種類があるんですよ。

 

私にはお目当ての絵本があったので、あわてて書店の検索コーナーへ行って、その絵本が並んでいる棚を確かめました。そして、その棚のあるところを見たのですが、目的の本がなかなか見つからない……。

 

なぜかというと、絵本って、種類もいろいろなだけではなく、大きさも形もいろいろだからなんです。だから、とっても探しにくい!

 

本は本でも、たとえば文庫本や新書、単行本などは大きさがだいたいそろっています。だから、同じ棚に並んでいれば、背表紙に書いてあるタイトルがだいたい同じ高さにそろっているんですね。その同じ高さにそろっているタイトルを追っていけば、目的の本が見つかります。

 

ところが、絵本の場合には、大きさも形もバラバラ。だから、同じ棚に並んでいても、タイトルが同じ高さに並んでいないんです。しかも、本の幅もバラバラなので、背表紙が出っ張ったり引っ込んだりしている。これも、目的の本を探しにくい理由です。

 

「それなら、書店にわざわざ探しに行かなくても、ネットで買えばいいじゃん」と思う方もいるかもしれません。でも私は、本はリアル書店で買いたい派なんです。だって、リアル書店に行ったからこそ、偶然にいい本に出会えるってことが、たくさんあるんですよ。

 

実は今回も、目的の本以外にとっても素敵な本を見つけました。それから、絵本の売り場で目的の本を探していたときに、気づいたことがあります。

 

前述のように、文庫本や新書、単行本などは大きさがだいたいそろっています。だから、たくさん本があっても扱いやすい。一方で、表紙などのデザインは一定の範囲内でしかできません。

 

でも、絵本はもっと自由です。大きさも形も、本をつくる素材も自由。実際に絵本には、紙だけではなくて、プラスチックや布などを使った「さわって楽しい」というものもあります。たしかに大きさも形もバラバラなので、書店員さん泣かせの本だとは思いますが……。

 

つまり、私が絵本売り場で気づいたのは「多様性って、こういうことなんだな」ということです。

 

一定のルールの範囲内であれば、いろんなことが効率的で便利です。だけど、そのルールをはずれた自由がない。ルールをはずれたところにあるかもしれない楽しさがない。

 

ルールとか常識とかからはずれた少数派には、もっと自由や楽しさがあるんだよ。いろんな種類のいろんな絵本が並んだ売り場で、絵本たちから教えられた気がしました。