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書くことは整理すること

先日、東京都内のとある会社さんへ取材にうかがいました。

 

その取材というのは、その会社さんが新事業に取り組み、それを成功させた経緯をうかがうためだったのですが、ご担当の方がとってもきれいに資料をまとめていらっしゃいました。

 

私「わざわざこんなにきれいにまとめてくださったんですか?」

ご担当「わざわざというか……私もこれをまとめながら、自分の頭の中の整理ができたので、よかったです」

 

……と仰っていただいたので、そもそもなぜ「書く」ということが必要なのか、どんな意味があるのか、ちょっと考えてみます。

 

最近は連絡手段がLINEやメールなど「書く」ことが中心になっていますが、ここでいう「書く」は、そういう閉鎖的な状態で書くことではありません。会議資料や報告書など、公的な意味での「書く」です。情報を伝えるだけなら、書くよりも話す方がラクですよね。話すだけならめんどくさくないし、時間もかからないし、誤解も少ないですし、間違ったらその場で訂正もできます。

 

でも、書くのはなぜか?その意味をいくつか挙げてみます。

1.他の人と情報を共有できる。

2.情報を視覚化できる。

3.潜在意識を顕在化できる。

4.潜在意識に働きかける。

 

まず、1.他の人と情報を共有できる。については、印刷物やインターネットなどを思い浮かべていただければわかりやすいと思います。新聞や雑誌、ホームページやSNSなどは、情報がそこに「書かれたから」多くの人に届いています。かくいう私は、そのためにライターという仕事をしています。

 

次に2.情報を視覚化できる。については、前述の取材を受けてくれた担当者さんの資料がこれにあたります。資料をつくることによって情報共有もできるわけですが、担当者さんは資料をつくることによって「自分の頭の中の整理もできた」と仰っていました。それは情報が文字となって、目で見ることができるようになったからだと思うんですね。

 

情報を文字にすることで頭の中の整理ができるのは、私自身、日々の仕事の中でものすごく実感しています。それは、取材をするときの「メモ」です。私は必ず、取材相手の話を聞きながら手書きでメモを取るのですが、それは後で原稿を書くときに役立てるためというのと、その場で的確な質問をするため、という2つの意味があります。

 

相手の話を聞くというのは、単に耳で聞いていただけでは記憶に残りません。普通に会話をしているときでも「ええっと……さっき、なんて言ったっけ?」なんて聞き返すこと、よくありますよね。取材中はそんな失礼なことは言えないので、耳で聞く音声情報から、文字情報にして目で見ることが必要なんです。

 

情報を文字にすると、視覚的な情報になります。「見える化」なんていう言葉もあるくらいですから、目で見ると認識しやすくなりますよね。なんとなく頭の中でモヤモヤしていたことも、書いて目で見ると、整理しやすくなります。

 

前述の3.潜在意識を顕在化できる。4.潜在意識に働きかける。については、2.情報を視覚化できる。があるからできることだと思うんですね。

 

……と書きながら、たった今も私は自分の頭の中を整理しています。こうしてブログを「書く」ことも、頭の中の整理になるんですよ。