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具体と抽象の往復で、進化する

私はライターのくせに、自分の思考や体験を、体系立ててまとめるのが苦手だなぁ、と常々、思っております。

 

で、ある日、本屋さんに行ったら、この本に出会ったんです。


「具体⇔抽象」トレーニング―思考力が飛躍的にアップする29問(細谷功氏著、PHPビジネス新書)という本。

 

ほほぉ、これはいいかも、と思って、買いました。

 

そうしたら、今の私にドンピシャ(という言い方も古い気がしますが…)、必要な本でした。

 

この本は、そのタイトル通り、抽象化と具体化という考え方を往復して、アイデアを深めたり、コミュニケーションギャップを解消したりする「思考法」を解説したものです。

 

と、言われてもよくわからないと思うので、ぜひ、読んでみてください。わかりやすい図もたくさんあるので、文章を読むのが苦手な人でも、とっつきやすいと思います。そして何より、お仕事やコミュニケーションに役に立ちます。

 

詳しくは、本書を読んでいただきたいのですが、「抽象化と具体化という考え方を往復する」というのは、どういうことかというと、

 

具体的なことを、抽象的にする=抽象化

その抽象的なことを、別の具体的なことにする=具体化

 

まぁ、この文章を読んでも「なんのこっちゃ?」と思うかもしれないので、私が「これだ!」と思う事例を出します。

 

それは、私が取材でうかがった、とあるパン屋さんのお話。そのパン屋さんは、以前は確かに、ごく普通の小さなパン屋さんでした。でも、今は、「おから」を使ったお菓子などをつくるメーカーになっています。

 

私は、この話を聞いた時、「なんで、パン屋さんがおからを?」って思ったんです。だって、パンの原料は小麦粉だし、最近では、米粉を使ったパン屋さんもありますが、いずれにしても、「おから」の原料は大豆ですから、共通点はなさそうですよね。

 

それで、取材に行って、そのお店の方からお話を聞いて、「なるほど~!」と思ったんです。そして、その話がまさに「具体と抽象の往復」でした。

 

・そのパン屋さんは、もともと無添加のパンをつくっていたので、賞味期限が短く、売れ残ったものは廃棄せざるを得なかった。

・いつも「もったいないなぁ」と思っていたところ、たまたまご縁があって、アメリカのベーカリーへ研修に行くことになった。

・アメリカに行ってみたら、地球環境に関する人々の関心が高く、環境問題とビジネスが結びついていた。

・パン屋さんは、「環境問題と『もったいない』は、つながっている!」と気づいた。

・自分たちがつくっているパン以外にも「もったいない」ものがあるかも、と調べたら、

 日本の食べものとして世界的に有名な豆腐をつくる際、大量の「おから」が廃棄されていることがわかった。

・「もったいない」を少しでも減らすために、おからを活用できないか?と考えた。

・パンを焼く技術を使って、おからのお菓子をつくることを思いついた。

 

こんな感じの流れで、パン屋さんからおからのお菓子メーカーになった、というわけなんです。

それで、ですね。これのどこが「具体と抽象の往復」なのかというと・・・。

 

・パン屋さんが「売れ残りを廃棄するのはもったいない」と思っていた。

 ⇒これは、具体的。

・アメリカに行ったら「環境問題と『もったいない』は、つながっている!」と気づいた。

 ⇒これは、抽象的。

・「パンの他にももったいないものがあるかも?」と調べて、おからのお菓子を事業にした。

 ⇒これは、具体的。

 

ということで、パン屋さんは「環境問題」という抽象的な考えと、自分たちが普段から思っていた「もったいない」(これも抽象的なことですが)が結びついたことで、「おからのお菓子」という新たな事業を思いついたわけです。

 

このブログでは、パン屋さんのお話を例にしましたが、こういう「具体と抽象の往復」によって生まれた新たなビジネスって、たくさんあるんだと思います。改めて考えてみると、私が取材した多くの中小企業でも、こういう考え方で新事業を立ち上げた会社がいろいろあります。

 

と、この本を読みながら、私自身が「具体と抽象の往復」をしていたのです。「一冊の本に出会う」という具体的なことから、「本に書いてある内容」という抽象的なことを学び、「取材をした具体的な事例」を思い出したのですから。