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英語力より、コミュニケーション力

渋谷の日本酒バルで、外国人の常連さんとお話する機会があった。白人で目の色がグレイのその方は、オーストラリア出身。ワインよりも日本酒が好きで、その店にはよく来ると仰っていた。

 

私は外国人の方にはつい、英語で話しかけてしまう。それはきっと、私だけではなく、多くの日本人がそうだと思う。

 

その方は、もう日本に住んで20年以上だそうで、日本語の発音がとてもスムーズで聞き取りやすい。それがわかって、私はその方とずっと日本語でおしゃべりしていたが、やはり彼は普段、日本人から英語で話しかけられて、そのまま英語で会話することが多いそうだ。

「僕、日本語しゃべれるのにね」と笑っていた。

 

私は沖縄に住んでいたので、近くに外国人がいることは特に珍しいと思っていない。ご存知のように、沖縄には米軍基地があるので、アメリカ人をはじめとする外国人がたくさん住んでいる。基地の近くに行けば、アメリカ人相手の飲食店も多い。そういう店では、日本人のお客の方が少ないくらいだ。

 

学生時代には、先輩に連れられて、クラブやディスコによく行ったが、そういう店もやはり、日本人よりもアメリカ人が多かった。私も、私の先輩たちも、あまり英語が流暢というわけではなかったが、ノリのいいアメリカ人と仲良くなってグラスを合わせて乾杯し、一緒に踊ったり笑ったりしたものだ。それがとても楽しかった。

 

 

そういう自分の体験から、外国人の方とおしゃべりする時に大事なのは、英語力よりも、アイコンタクトやボディーランゲージといったコミュニケーション力だと思っている。自分が英語ができないという劣等感は、ほとんどない。単語がわからなければ、日本語で押し通すこともあるくらいだ。

 

という話をそのオーストラリア出身の方にしたところ、「そうそう、その通りなんですよ」と、ものすごく深くうなずいていただいた。ヨーロッパなどの観光都市では、英語が使えることが当たり前になっているが、中国やロシアではほとんど通じないそうだ。それでも、外国からたくさんの観光客がやってくるし、中国人やロシア人は、自国の言葉で旅行者に対応しているという。

 

日本には、外国人観光客がどんどん増えていて、飲食店などでも英会話を学ぼうという動きがある。確かに、企業などがビジネスで英語を使う場合は、しっかりした英会話を身に付ける必要があると思う。でも、飲食店などの接客業に携わる人たちには、英会話を学ぶ前にできることがあると思う。それは、言葉を超えてコミュニケーションすることを恐れずにやることだ。英語ができないからと言って、臆することは何もない。

 

「人間同士なのだから、気持ちは通じますよね」と私が言うと、その方はまたうなずいていた。「英語を話さなければ」と考える前に、笑顔と身振り手振りで伝えようとすること。Don't Think,Just Feelでいこう。