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それ、正しいの??

JR渋谷駅と、井の頭線渋谷駅の間の通路は、ガラス張りになっていて、渋谷のスクランブル交差点を上から眺めることができます。私、ここから交差点を眺めるのが好きです。

 

このスクランブル交差点のビューポイント(私が勝手にそう名付けていますが)、最近では外国人観光客がよくやってきて写真を撮っています。屋内なので、待ち合わせ場所としても最適で、日本人も外国人も待ち合わせをしている人をよくみかけます。

 

先日も、ここからボーッと交差点を眺めていたら、ちょっとふくよかな女性が隣でスマホを眺めながら、人待ち顔で立っていました。

 

その女性は、透け感のあるシフォン素材の、紺色のブラウスを着ていたのですが、ふと見ると、彼女の脇腹あたりに、白い札のようなものが見え隠れしていたんです。私は「あれ?なんだろう?」と思ったので、目を凝らしてよく見ると、なんだか洋服の洗濯タグらしいんですね。

 

「洗濯タグってことは、このコ、洋服を裏返しにしてるんじゃないだろうか??」と思ったんですけど、ぱっと見は、わからない。シフォン素材っていうのは、裏表がわかりにくい生地だから。ひょっとすると、ワザとそうやって着ているのかもしれないし…。

 

最近(だけじゃないのかも)、靴下やスニーカーの左右をワザと違う色にして、それをファッションとして楽しんでいる人もいます。某ファストファッションでは、プルオーバーの首回りの前後を、あえてVネックとUネックにして、どちらを前にして着てもいいようにしています。

 

だから、最近の私は「ファッションには、これが正しい、っていうのはないんだな」と思っているんです。その人が着たいように着る。それが個性であり、ファッションなんだと。

 

というわけで、紺色シフォンブラウスの彼女が、あえて裏返しに着ているのかもしれないという可能性もなきにしもあらずだわ、と思ったわけです。だから「裏返しですよ」と指摘しないでおいたのですが…。

 

果たして、その真相はいかに?と、今でも気になっています。

 

もし、待ち合わせしていたのが女友達で、会った途端に「ヤダー!アンタ、そのブラウス裏返し!!」と笑い飛ばしてくれたらいいのです。でも、もしかしたら、待ち合わせしていたのは恋人かもしれない。そして、その恋人も私のように「このブラウス、裏返しじゃないのかなぁ?」と気になって、気になってはいるけれど言い出せなくて、食事に行っても、映画に行っても、気にし続けるかもしれない…。

 

そう思ったら、あの時に洗濯タグに気づいた私が「裏返しですよ」って、教えてあげればよかったかなぁ。でも、オシャレと思って、ワザとやってるかもしれないしなぁ…。スクランブル交差点が見えるあの通路を通る度に、思い出しています。