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あの時、ヤケクソになったから

時々、取材と原稿執筆のお仕事をいただいている雑誌の出版社さんからご連絡をいただきました。その雑誌は今後、出版社さんからではなく、制作会社さんが作ることになったそうです。

 

これは、私にとって何を意味するかというと、原稿料が下がる(しかも極端に)ということです。

 

だから「どうします?引き続き、原稿を書いていただけますか?」というご連絡でした。

 

しばらく悩みましたが、その雑誌に関係する編集スタッフさんも一新されるということなので、思い切って、その雑誌のお仕事は手放すことにしました。

 

出版不況、ということが言われて久しいですが、本の中でも特に、雑誌は厳しいです。なぜなら、その役割がほとんどインターネットに取って代わられたからです。

 

書籍の方は、言いたいこと、主張したいことを、ある程度長くきちんと1冊にまとめてあるので、インターネットとは違う意味があります。でも、雑誌はいわば「今必要な情報」をまとめているもの。これは、圧倒的なスピード感を持ってまとめられるインターネットには敵いません。

 

ですから私は、件の雑誌の出版社さんからご連絡いただいた時、「ついにそうなったか…」と思いました。ショックだったけれど、ある程度は、覚悟をしていたといえます。

 

思えば、私がこのホームページのブログと、アメブロに「美味と物語」というショートストーリー仕立てのブログを書き始めたのも、そういう危機感からでした。約1年前、突然、複数の仕事がキャンセルになったのです。しかもそれらは、全て出版関係でした。

 

そこで私は、半ばヤケクソになって「自分でコンテンツをつくってやるっ!!」と、2つのブログをできるだけ頻繁に更新するようになりました。(ホームページの方は更新頻度が高くないのですが…。)

 

そして、これも今思えばなのですが、あの時を境に、私の仕事に対するパワーの使い方が変わりました。自分で書くブログのことを、アレコレ頭の中で考えるのが楽しくなったので、いい意味で、ご依頼いただくお仕事に対しては、力を抜いて臨むようになりました。 

 

あれから約1年が経った今、残念ながら「ああ、やっぱり…」という事態になっています。もし、あの時、ヤケクソになっていなかったら、今でも出版社さんからお仕事をいただくことだけに執着していたかもしれません。

 

実は今、私の仕事のクライアントさんは、出版社や制作会社さんだけではなくなっています。企業の広報担当者さんや、マーケティング会社さんなどもクライアントになっていて、「ライターって、いろんなところにニーズがあるんだな」ということを実感しているのです。

 

今回、出版社さんからは残念なお知らせが届きましたが、これも時代の流れと受け止めるしかないと思います。そしてこれからも、そういう時代の流れに乗って、ほんの少し先を、直感的に動くことが大事だと、改めて思ったのでした。