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「私とは何か」と、いろんな自分

学生時代からの友人のすすめで、平野啓一郎さんの本「私とは何か」を読みました。

 

この本では、人間にはいろんな面があるけれど、本当の自分もウソの自分もなくて、全て本当の自分なんじゃないか、というようなことが書いてあります。

 

本書の中には、平野さん自身が体験した具体的なエピソードがたくさん出てくるのですが、例えば、こんな感じ。

 

平野さんが京都に住んでいた大学生時代、高校時代の友人(北九州の人)が遊びに来ました。たまたまその時、大学の友人と食事に行く約束があったらしく、高校時代の友人も連れて行ったのだそうです。

 

で、大学の友人も高校の友人も、共通の話題である自分の話をしている。それがとても恥ずかしかったと。それは、高校時代の自分と大学生の自分が違うから。

 

でも、どちらも確かに「本当の自分」なんだよね、というような感じです。

 

これ、めちゃくちゃよくわかります。私も、こういう体験を沖縄でしたことがあります。琉球大学に通っていた頃、山形の実家に住む姉が遊びに来て、沖縄の友人たちとの飲み会の場に連れて行ったのです。

 

生まれた時から一緒にいる姉とは山形弁で話すし、沖縄人の友人たちとはウチナー訛りで話す。平野さんのように「恥ずかしい」というわけではありませんでしたが、なんとなくヘンな感じがしたのを覚えています。

 

でもやっぱり、どちらも「本当の私」なんです。

 

んで、東京に住んで、ライターをしている現在。仕事でもプライベートでも「書く」ことを中心に、いろんな自分がいます。それで、ブログを3つも書いています。

 

1つ目は、仕事のことや沖縄のことを綴った雑記ブログ(このホームページ)

2つ目は、酒場で聞いた恋愛話や職場の話を元にした「美味と物語」(アメブロ)

3つ目は、和食の料理のことを英語でなんて言う?をストーリー仕立てで(note)

 

こうして並べてみると、3つとも全然違う内容を書いていることがおわかりいただけると思います。ま、だから分けたんですけど。

 

ブログを2つにした時、「ひとつのブログに集約した方がいいんじゃないか?」と思って、まとめたこともあったのですが、どうにもしっくりこない。それで、2つに戻して書いているうちに、書きたいことが増えて、3つになりました。いずれも、毎日更新しているわけではありませんが、少しずつ書いています。

 

ちなみに、仕事も「書くこと」なのですが、カタい感じのビジネス雑誌などの原稿を書くことが多いです。企業などに取材に行って、その内容を書いています。だから、上記3つのどのブログとも、全く違う文章です。

 

私の場合、「書く」ということに限定しても、こんなに違う自分がいるんだなぁ、と思います。

 

で、平野さんの本の話に戻りますが。

 

この本を読むと「ああ、いろんな自分がいてもいいんだな」と思えます。私の場合は、書くことを仕事にしているので、文章という目に見えるカタチで、それぞれ違う自分を表現できますが、そうじゃなくても、「本当の自分、ウソの自分」なんていうことを気にしないで、「全部、本当の自分!」と胸を張っていいんだなと。

 

この本の帯の通り、まさに「生きるのが楽になる」本だと思います。すすめてくれた友人に感謝です。ありがとう!