毎朝、悩むことがある。
「きょうは、何を着て行こう…」
学生の頃から、ファッション雑誌などをほとんど買ったことがなく、流行にも興味があまりなかった私は、姉からのおさがりや、手持ちの定番服で、これまでなんとかやり過ごしてきた。
それでも、まったくおしゃれ心がないわけではないので、それなりに洋服は持っているつもりだ。定番といわれる白、黒、グレー、紺やベージュの他に、自分が好きな赤や青、黄色や紫色の服も持っている。
だけど、ファッションの問題は「持っていること」ではない。どのように「組み合わせるか」である。いわゆるコーディネートだ。
1枚で着られるワンピースや、上下で1組のスーツなら、まぁ、ほとんど問題はない。けれども、毎日ワンピースやスーツというわけにもいかない。
おまけに、秋という今の季節は、日中はまだ夏のように暑いのに、朝晩は羽織るものがほしくなるという気温である。
さて、困った…。いや、毎年困っている。
そんな私が、つい最近、とある人のSNS投稿を見て「なるほど!」と思った。そして、そのアイデアをちょっと拝借し、実践している。
そのアイデアというのが「自然からファッションのヒントをもらうこと」
ヒントとなったSNS投稿では、四角い紙にワンピースを着た女性の絵を描き、その人の洋服の部分だけを切りぬいて、空洞にしている。そして、その紙を持って公園のような場所へ行き、森や花壇のようなところにかざすのである。
そうすると、何が起きるのか?
前述の四角い紙には、女性の顔が描かれており、洋服の部分は空洞だ。その空洞のところから、森の緑や、花壇に咲いた花などが見えて、さながら、紙に描いた女性が、森の色柄や花の色柄のワンピースを着ているように見えるのである。
当然ながら、森の木々には深い緑の葉や、渋い茶色の皮があるし、花壇の花には、派手なショッキングピンクや鮮やかな黄色がある。そして、それらが女性のワンピースとして見えた時、どの色の組み合わせも、とてもきれいだった。
そのSNS投稿を見て、私は「なるほど!」と思った。自然界には、いろんな色が存在するし、いろんな色の組み合わせがあるけれど、どの組み合わせも「気持ち悪い」と思ったことがない。ということは、どの組み合わせも心地よく、ファッションの参考になるのだ。
実は私は、以前から、公園などで花が咲いているのを見つけては「きれい!」と写真を撮っている。それはこれまで、ごく自然にやっていたことだった。けれど、それが「ファッションの参考になる」と思った途端に、見方が変わった。
たとえば、冒頭のコスモスの花は、ごく最近撮った写真だ。この写真を撮影した翌日には、濃い目のピンク色のニットとカーキ色のワイドパンツという、これまでにやったことのないコーディネートにした。
そしてその日、おしゃれ好きの知り合いに会ったが、なかなか好評だった。
ファッションについては、いまだに雑誌も見ないし、ウェブで検索もしない。けれど、日々の生活の中で出会う木々や花々に、そのヒントを教えてもらっている毎日である。