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POPがないと買えないもの

1年ほど前、隣町の商店街におしゃれな酒屋さんができました(←居酒屋さんではなく、酒屋さんです)。

 

その酒屋さんには「角打ち」があって、立ち飲みですが有料試飲ができます。クラフトビールやウィスキー、日本酒や焼酎といろいろあって、お店で売っているお酒の味を確かめてから買うことができるというわけです。

 

私はお酒を飲むのが大好きで、もちろんこの角打ちも大好き。特にコロナ禍では飲食店が休業や時短営業をしていたので、家飲みが多くなり、この酒屋さんでお気に入りのお酒を見つけては買っていました。

 

当然のことながら店員さんと顔見知りになり、おしゃべりをすることも増えました。先日、ひょんなことから私がライターであることを話すと、店員さんがこんなことを仰ったんですね。

 

店員さん「文章を書くお仕事って、すごいですよねぇ。ウチは酒屋なので、お酒にPOPを付けるんですけど、味の表現って、難しくって……」

私「あ!そういえば私、ここでお酒を買うときに必ずPOP見てますよ~。POPがないとお酒の味がわかんないですもん」

店員さん「そうですよねぇ。POPって手間がかかるので、全部に付けるわけにはいかないんですけど、大事なんですよねぇ」

 

という会話の後、私は一度自宅へ戻って自分の本棚からPOPの本を1冊持ってきて、その店員さんにプレゼントしました。店員さんは「わぁ~!ありがとうございます!」と、とても喜んでいました。

 

実は私、数年前にPOPについて取材をしたことがあります。それは専門家の方が書いた初心者向けの本で、その方に同行してPOPが上手なスーパーや雑貨屋さんを何軒も回って取材しました。

 

そのときに回ったお店はどこも、POPを書いて商品に付けたことで、大幅に売り上げがアップしたそうです。確かに、POPが付いているものって、目を引くし、そこに書いてある言葉によって商品の魅力が伝わるから、買いたくなるんですよね~。

 

ということを、そのPOPの本の取材のときにものすごく実感したのを思い出しました。だけどそれは当時、取材に同行していたからです。

 

自分でいうのも何ですが、私は仕事以外では結構なポンコツなので、プライベートでお酒を飲んでいるときなどは、すっかり仕事のことを忘れていることがあります。

 

この酒屋さんでも、たいていはほろ酔いで、店員さんとのおしゃべりももっぱらお酒の話。だからまさか、POPの話が出るなんてこれっぽっちも思いませんでした。まぁ、たぶん店員さんもそう思っているでしょうけど。

 

そしてまさか、いつもお酒の話しかしない私からPOPの本をプレゼントされるなんて、びっくりしたでしょうねぇ(笑)。何はともあれ、以前、私がお手伝いした本がお役に立てるようで、よかったです。

 

お酒って、ラベルにスペック(原材料とかアルコール度数とか)は書いてありますが、それだけでは味が全然わかりません。店員さんが書くPOPがないと買えないもののひとつと言ってもいいかもしれません。酒屋の店員さん、頼りにしてます!